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インプラント治療の基本がわかる解説:メリットと治療の流れを解説

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2026.07.02

歯を失ってしまったとき、食事のしづらさや見た目の変化に悩む方は少なくありません。失った歯を補う治療法にはいくつかの選択肢がありますが、その中でも「第二の永久歯」として注目されているのがインプラント治療です。この治療法は、周囲の健康な歯に負担をかけることなく、自分の歯のような噛み心地を再現できる点が大きな特徴です。本記事では、インプラント治療の基本的な仕組みや、他の治療法との違いについて、初めての方にもわかりやすく解説します。

インプラント治療の仕組みと基本構造

インプラント治療とは、歯が抜けてしまった部分のあごの骨に、人工の歯根(ネジのような器具)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。この治療は主に3つのパーツで構成されています。まず、あごの骨と直接結合して歯を支える「インプラント体」、次に人工の歯を取り付けるための土台となる「アバットメント」、そして最後に目に見える歯の部分となる「人工歯(上部構造)」です。

従来の入れ歯やブリッジ治療との大きな違いは、自立して歯を支える点にあります。ブリッジのように両隣の健康な歯を削る必要がなく、入れ歯のように周囲の歯にバネをかけて負担をかけることもありません。あごの骨にしっかりと固定されるため、食事の際にもズレにくく、天然の歯に近い感覚でしっかりと噛むことができるようになります。

以下の表は、インプラントの主な構造をまとめたものです。

パーツの名称

主な役割と特徴

インプラント体

あごの骨に埋め込む人工の歯根。骨と結合しやすい素材が使われます。

アバットメント

インプラント体と人工の歯をしっかりと繋ぐための土台です。

人工歯(上部構造)

実際に食べ物を噛む部分。見た目も天然の歯に近く作られます。

 

インプラント治療がもたらす主な利点

インプラント治療には、歯を失った部分を補うだけでなく、口内全体の健康を維持するための様々な利点があります。

最大の利点は、他の健康な歯を守れる点です。従来のブリッジ治療では、失った歯の両隣にある健康な歯を大きく削る必要がありましたが、インプラントは独立して自立するため、周囲の歯に負担をかけません。また、入れ歯のように金属のバネを他の歯にかけることもないため、残っている大切な歯の寿命を縮めるリスクを減らすことができます。

さらに、あごの骨の健康維持にも貢献します。歯を失ったまま放置したり、あごに強い刺激が伝わりにくい入れ歯を使い続けたりすると、あごの骨が徐々に痩せてしまうことがあります。しかし、インプラントは人工歯根を通じて噛む刺激があごの骨に直接伝わるため、骨が痩せるのを防ぐ効果が期待できます。結果として、口元の見た目を若々しく保つことにもつながります。

主な利点を以下にまとめました。

  • 周囲の歯を傷つけない:両隣の歯を削ったり、バネをかけたりする必要がありません。
  • しっかり噛める:あごの骨に固定されるため、硬いものでも自分の歯のように噛めます。
  • 違和感が少ない:入れ歯のような大きな器具がお口の中に入らないため、発音もしやすいです。
  • あごの骨を守る:噛む刺激が骨に伝わり、あごの骨が痩せるのを防ぎます。

インプラント治療を検討する際の留意点

インプラント治療には多くの利点がある一方で、検討するにあたって事前に知っておくべき留意点や注意点も存在します。

まず、すべての症例で治療がすぐに始められるわけではないという点です。インプラント体を埋め込むためには、十分な量と厚みのあるあごの骨が必要となります。骨が足りない場合は、事前に骨を増やすための処置が必要になることがあります。また、重度の糖尿病や高血圧などの持病がある方、重度の歯周病にかかっている方は、治療が難しくなる場合や、先にそれらの治療を優先しなければならない場合があります。

次に、治療期間と費用の面です。インプラント治療は、人工の歯根があごの骨としっかりと結合するまでに数ヶ月の待機期間を要するため、一般的な入れ歯やブリッジに比べて全体の治療期間が長くなります。さらに、原則として公的医療保険が適用されない「自由診療(自費診療)」となるため、治療費用が比較的高額になります。

事前に確認しておきたい留意点は以下の通りです。

留意すべき項目

具体的な内容と注意点

あごの骨の状態

骨の量が少ない場合は、別途骨を補う処置が必要になることがあります。

お身体の健康状態

持病や服用中のお薬によっては、治療が制限される場合があります。

治療にかかる期間

骨とインプラントが結合するまで、数ヶ月以上の期間が必要です。

費用の負担

基本的には保険適用外の自由診療となるため、費用負担が大きくなります。

 

インプラント治療の一般的な流れについて

インプラント治療は、綿密な計画に基づいて段階的に進められます。治療の開始から完了までには、いくつかのステップを経る必要があります。

最初のステップは「事前検査と治療計画の立案」です。お口の中の型取りや、コンピュータ断層撮影(CT)による撮影を行い、あごの骨の量や神経の位置を正確に把握します。この検査結果を基に、一人ひとりに合わせた安全な治療計画を立てます。続いて「手術」を行います。麻酔をして、あごの骨に人工歯根であるインプラント体を埋め込みします。

手術後は、インプラント体があごの骨と結合するのを待つ「治癒期間」を設けます。この期間は個人差がありますが、通常は数ヶ月程度かかります。骨としっかりと結合したことが確認できたら、歯の土台を取り付け、最後に型取りをして作製した人工の歯を装着します。

治療全体の流れを以下にまとめました。

  • 1.検査と診断:お口の中の状態を詳しく検査し、最適な計画を立てます。
  • 2.手術の実施:あごの骨に人工歯根(インプラント体)を安全に埋め込みします。
  • 3.治癒期間(待機):骨とインプラント体がしっかりと結合するのを数ヶ月待ちます。
  • 4.人工歯の装着:型取りを行い、作製した精密な人工の歯を固定して完成です。

まとめ

インプラント治療は、失ってしまった歯を補い、元の歯に近い噛み心地や見た目を取り戻すための優れた選択肢の一つです。周囲の健康な歯を削ることなく、独立してあごの骨でしっかりと支えられるため、お口の中全体の健康維持にも大きく貢献します。

しかし、治療を成功させるためには、事前の精密な検査や、あごの骨の状態、お身体の健康状態の確認が欠欠かせません。また、治療期間が長期にわたる点や、自由診療による費用負担などの留意点もしっかりと理解した上で、検討を進めることが大切です。治療を終えた後も、毎日の丁寧な歯磨きと歯科医院での定期的な管理を続けることで、人工の歯をより長く、清潔に保つことができます。

最後に、これまでの内容の要点を箇条書きで振り返ります。

  • 周囲の健康な歯を守る:他の歯に負担をかけず、お口全体の寿命を延ばすことにつながります。
  • 事前の健康確認が重要:あごの骨の量や持病の有無によって、治療計画が左右されます。
  • 治療後のお手入れが寿命を伸ばす:毎日の丁寧なケアと定期検診が、長持ちさせる秘訣です。

 



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 認定医、日本口腔インプラント学会 専門医、日本顎顔面インプラント学会 専門医、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。