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インプラントの最大の敵「インプラント周囲炎」とは?その正体を明かす

ブログ

2026.08.17

インプラントの最大の敵「インプラント周囲炎」とは?その正体を明かす

インプラント治療が無事に終了し、本物の歯と同じように噛めるようになると、多くの方が安心されます。しかし、ここからが本当のスタートです。インプラントには「虫歯にならない」という最大のメリットがありますが、その一方で、天然の歯以上に「歯周病」に似た病気にかかりやすいという弱点があります。これが「インプラント周囲炎」です。

インプラント周囲炎は、インプラントの周囲に溜まったプラーク(歯垢)の中にいる細菌が原因で起こる感染症です。

  • 天然歯の歯周病との違い: 天然の歯には、歯と骨の間に「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような組織があり、これが細菌の侵入を防ぐ防御壁の役割も果たしています。しかし、インプラントにはこの歯根膜がありません。骨と直接結合しているため、一度細菌感染が起きると防御壁がなく、一気に奥深くまで細菌が侵入してしまいます。
  • 進行速度が非常に速い: 驚くべきことに、インプラント周囲炎の進行速度は、通常の歯周病の数倍早いと言われています。あっという間にインプラントを支えている周囲の骨が溶けてしまうのが特徴です。

せっかく高額な費用と時間をかけて手に入れたインプラントを失わないために、まずはこの病気のリスクを正しく認識することが重要です。 

自覚症状がない恐怖:気づいた時には手遅れになる前に知るべきサイン

インプラント周囲炎の最も恐ろしい点は、通常の歯周病と同様に「初期段階ではほとんど痛みが起きない」という点です。インプラントには神経がないため、内部でどれだけ病気が進行していても、痛みを感じることができません。そのため、自分で気づいた時には「すでに手遅れ(インプラントがグラグラしている状態)」になっているケースが少なくないのです。

手遅れになる前に、以下のような微かなサイン(症状の段階)を見逃さないようにしましょう。

  • 初期症状(インプラント周囲粘膜炎): 歯茎の赤み、腫れ、ブラッシング時の出血。この段階はまだ骨まで炎症が及んでいないため、適切なクリーニングで元の健康な状態に戻せます。
  • 中期症状(インプラント周囲炎の始まり): 歯茎から膿(うみ)が出る、口臭が強くなる、インプラントの周りの歯茎が下がって金属部分が見えてくる。この段階ではすでに骨が溶け始めています。
  • 末期症状: インプラントが指や舌で触るとグラグラと動く、噛むと痛い。ここまで来ると、インプラントを一度撤去(抜去)せざるを得ない可能性が非常に高くなります。

「痛くないから大丈夫」は禁物です。出血や赤みは、身体が発しているSOSのサインです。

自宅での正しいセルフケア:インプラントを守る毎日のブラッシング術

インプラント周囲炎を予防するための主役は、他でもない患者様ご自身による「毎日のセルフケア」です。インプラントの構造は天然の歯とは異なり、根元が絞り込まれたような形状をしていることが多いため、通常のブラッシングだけではどうしても汚れが残りやすくなります。

当院(大宮銀座通り歯科)では、インプラントを入れた患者様に以下の具体的なケア方法をご案内しています。

  • タフトブラシの併用: 毛先が小さな円錐状になったタフトブラシを使い、インプラントと歯茎の境目、歯と歯の間の細かい隙間をピンポイントで狙って磨きます。
  • 適切なサイズの歯間ブラシ・フロス: インプラント周辺の隙間に合った歯間ブラシ、または太めのデンタルフロス(スーパーフロスなど)を通し、インプラントの根元を包み込むようにしてプラークを優しく掻き出します。
  • 優しく磨く意識: インプラント周囲の歯茎は天然歯よりもデリケートで傷つきやすいため、硬い毛の歯ブラシでゴシゴシ擦るのはNGです。柔らかめの毛を使い、軽い力で細かく動かします。

毎日の適切なブラッシングの積み重ねこそが、細菌の定着を防ぐ最強の盾となります。

クリニックで行うプロフェッショナルケア:大宮銀座通り歯科のメインテナンス

自己流のセルフケアだけでは、どうしても100%の汚れを落とすことは不可能なため、歯科医院での定期的な「プロフェッショナルケア(メインテナンス)」が不可欠です。当院では、インプラントの寿命を最大限に引き延ばすため、専門的なアプローチを行っています。

当院のメインテナンスでは、以下のようなチェックとクリーニングを定期的に実施します。

  • インプラント専用器具によるお掃除: 通常の歯石取りで使う金属製の器具を使うと、インプラントの表面に細かな傷がつき、そこにさらに細菌が溜まりやすくなってしまいます。当院では、インプラントを傷つけない特殊なカーボン製やプラスチック製の専用器具、または特殊なパウダーを吹き付けるエアフローを使用して、安全に汚れを除去します。
  • 噛み合わせの微調整: 年月の経過とともに、周囲の天然歯は少しずつ摩耗したり動いたりしますが、インプラントは動きません。そのため、特定の場所に強い力がかかる「噛み合わせのズレ」が生じやすくなります。過度な負担は骨を溶かす原因になるため、定期的に噛み合わせのバランスをチェックし、調整します。
  • 定期的なレントゲン・CT確認: 骨の高さに変化がないかを目視だけでなく、画像診断で科学的にチェックします。

当院では、インプラントを植えて終わりではなく、その後何十年も安心して使っていただけるよう、伴走者としてサポートいたします。

徹底したメインテナンスで、一生モノのインプラントライフを

インプラントは第二の永久歯とも呼ばれる素晴らしい治療ですが、それを「一生モノ」にできるかどうかは、治療後のケア(インプラント周囲炎の予防)にかかっています。毎日の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なプロによるメインテナンスを両輪として機能させることが重要です。

大宮銀座通り歯科では、患者様の口腔内の状態に合わせた最適なメインテナンスプログラムをご提案しております。大切なインプラントを長く、快適に保つために、私たちと一緒に健康なお口を守っていきましょう。

 



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 認定医、日本口腔インプラント学会 専門医、日本顎顔面インプラント学会 専門医、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。