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インプラント治療を受けるがホワイトニングは可能?

ブログ

2025.11.21

インプラント治療と審美性を両立させたい方へ

歯の欠損を補うインプラント治療は、天然の歯と変わらない機能性と美しい見た目を取り戻すことができる、非常に優れた治療法です。しかし、インプラント治療を検討されている方の中には、「インプラントと同時に、自分の残っている歯も白くしたい」「治療後にホワイトニングをしたいけれど、インプラントの歯も白くなるのだろうか」といった、審美性に関する疑問をお持ちの方も多くいらっしゃいます。

インプラント治療とホワイトニングを組み合わせることは、口元全体の調和と美しさを実現する上で非常に有効ですが、両者には治療のタイミング材料の特性に関して、事前に知っておくべき重要な違いがあります。特に、インプラントの人工歯(被せ物)に使われる素材は、天然歯とは異なり、ホワイトニングの薬剤では白くならないという特性を理解しておくことが、理想的な口元を実現するための鍵となります。

この記事では、大宮銀座通り歯科の院長として、インプラント治療を成功させ、かつ満足度の高い審美性を得るために必要な、インプラントとホワイトニングに関する知識を専門的な視点から詳しく解説します。治療の順番や適切なケア方法を知っていただき、安心して治療計画を進めていただければ幸いです。

インプラント治療とホワイトニングを受ける順番はどちらが先?

インプラント治療を予定している方が、口元全体の美しさを高めるためにホワイトニングも希望される場合、結論から申し上げると、ホワイトニングを先に行うことが、審美的な成功の鍵となります。この順番には、インプラント治療で使用する人工歯の特性が深く関わっています。

矯正治療とホワイトニングの理想的な順番

  1. ホワイトニング(天然歯の漂白)の実施:
    • 最初に、残っているご自身の天然歯をホワイトニング薬剤で希望の白さまで漂白します。ホワイトニングの効果は一時的でなく、長期間持続しますが、時間の経過とともにわずかに色が戻る「色戻り(リバウンド)」があることも考慮します。
  2. 色の安定を待つ:
    • ホワイトニング直後は色が不安定なため、通常、2週間から1ヶ月程度期間を空け、天然歯の色が安定するのを待ちます。
  3. インプラント人工歯(被せ物)の製作:
    • 天然歯の白さが完全に安定した時点で、その色に合わせてインプラントの上部構造である人工歯の色を決定・製作します。インプラントの人工歯は、セラミックやジルコニアといった材料でできており、一度製作してしまうと、天然歯のようにホワイトニング薬剤で色を白くすることはできません。
  4. インプラント人工歯の装着:
    • 天然歯と色調が完璧にマッチした人工歯を装着することで、口元全体の統一感のある自然な白さを実現できます。

もし、インプラント治療を完了してからホワイトニングを行うと、インプラントの人工歯の色はそのまま残ってしまうため、天然歯だけが白くなり、インプラント部分だけが黄ばんで見えるという、見た目の不調和が生じてしまいます。美しい口元を目指す上で、この順番は非常に重要なポイントなのです。

 

ホワイトニング後の注意点

インプラント治療前にホワイトニングを行い、理想の白さを手に入れた後も、その効果を長持ちさせ、インプラント治療を円滑に進めるためには、いくつかの重要な注意点があります。特にホワイトニング直後の期間と、インプラント治療の過程で留意すべき点について解説します。

  1. ホワイトニング直後の色戻り(リバウンド)と色の安定

ホワイトニング直後の歯は、水分が抜けて一時的に非常に白く見えますが、時間が経つにつれて徐々に元の色に近づく**「色戻り(リバウンド)」**が生じます。このリバウンドが起こる期間を考慮せず、すぐにインプラントの人工歯の色を決めてしまうと、後から天然歯が黄ばんだ際に、人工歯だけが浮いて見える可能性があります。そのため、見出し1で述べたように、ホワイトニング後2週間から1ヶ月程度は期間を空け、色が完全に安定してからインプラントの人工歯の色合わせを行うことが、長期的な審美性を確保する上で非常に重要です。

  1. 着色しやすい飲食物の制限

ホワイトニング直後の天然歯は、薬剤の影響で一時的に色がつきやすい状態(ステインが吸着しやすい状態)になっています。この期間に、色の濃い飲食物(コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、醤油など)を摂取すると、せっかく白くした歯に色が沈着しやすくなります。インプラントの人工歯の色を決めるまでの期間は、着色の原因となる飲食物を控え、クリアな飲み物を中心とするなど、「色移りしやすいもの」を避ける食生活を意識してください。

  1. 継続的な口腔衛生管理の徹底

インプラント治療の成功と長期的な維持には、口腔内の衛生状態が不可欠です。ホワイトニングの有無に関わらず、毎日の丁寧なブラッシングと、定期的な歯科医院でのクリーニングは必須です。特にインプラント周辺は細菌が溜まりやすいため、適切な清掃を怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。ホワイトニングで得た美しさを長く維持するためにも、インプラントの安全性を確保するためにも、日々のセルフケアとプロフェッショナルケアを両立させることが重要です。

 

インプラントを受けた際におすすめの歯磨き粉

インプラント治療を成功させ、その後長期にわたってインプラントとその周りの天然歯の健康を維持するためには、日々のセルフケアで使用する歯磨き粉選びも重要になります。特にインプラント周辺の清掃には配慮が必要であり、使用すべき成分と避けるべき成分があります。

  1. おすすめの成分

インプラントとその周辺のケアにおいて、推奨されるのは以下の成分です。

  • フッ素(フッ化物): 天然歯の虫歯予防には必須の成分です。インプラント自体は虫歯になりませんが、周囲に残っている天然歯を守り、口腔内全体の健康を維持するために有効です。インプラントの被せ物に使用されるセラミックなどにも悪影響はありません。
  • 殺菌成分(IPMPCPCなど): インプラントを支える歯ぐきに炎症が起きる「インプラント周囲炎」の予防に極めて重要です。これらの成分が歯周病菌やインプラント周囲炎の原因菌の増殖を抑え、歯ぐきの健康を保ちます。
  • 低研磨性・非研磨性のもの: 研磨剤が多く含まれる歯磨き粉は、インプラントの人工歯(特にセラミックなど)の表面を傷つけ、光沢を失わせる可能性があります。さらに、インプラントの根元を覆う歯ぐきを傷つけたり、インプラントの支台部分を露出させたりするリスクがあるため、研磨剤不使用、または非常に粒子の細かい低研磨性の製品を選ぶことが大切です。
  1. 避けるべき成分

一方で、インプラント周囲への刺激や、インプラントの被せ物への影響を考慮して避けるべき成分もあります。

  • 強すぎる研磨剤: 上記の通り、インプラントの表面や歯ぐきに悪影響を与えるため、高研磨性のものは避けてください。
  • 発泡剤が強すぎるもの: 泡立ちが強すぎると、磨いた気になってしまい、肝心なインプラント周囲の細かい部分の汚れを落としきれないことがあります。泡立ちが少ない製品を選び、丁寧に時間をかけて磨くことが推奨されます。

インプラント治療後は、単に歯を白く保つことだけでなく、インプラントの寿命を延ばすための、炎症予防と清掃性の高い歯磨き粉を選ぶことが、長期的な安定に直結します。

 

よくある質問

インプラント治療とホワイトニングの組み合わせに関して、患者様から頻繁に寄せられる疑問について、大宮銀座通り歯科の院長としてお答えします。

インプラントの歯が、後から黄ばんできたらどうすれば良いですか?

インプラントの人工歯(セラミックやジルコニア)は、天然歯のように有機質を含んでいないため、ホワイトニングの薬剤では白くなりません。また、素材の特性上、天然歯よりも着色しにくいという利点もあります。しかし、長年の使用や、喫煙、着色性の強い飲食物の頻繁な摂取により、表面の艶が失われたり、わずかに着色したりすることはあります。その場合は、歯科医院で専門の器具を用いてクリーニングを行うことで、表面の汚れや着色を取り除くことが可能です。クリーニングで改善しないほど色が気になる場合は、人工歯自体を新しく作り直すことが唯一の方法となります。

インプラント治療中でもホワイトニングはできますか?

インプラント治療の途中で、インプラントが骨と結合するまでの期間(治癒期間)や、仮歯を装着している期間でも、インプラント以外の天然歯に対してホワイトニングを行うことは可能です。ただし、外科手術直後で傷口が治っていない状態や、炎症がある場合は、ホワイトニング薬剤が刺激となる可能性があるため、担当医に必ず相談し、安全性を確認してから実施してください。一般的に、インプラント治療の初期段階、特に人工歯の色を決める前のタイミングでホワイトニングを完了させることが推奨されます。

インプラントの周囲の歯ぐきが黒ずんでいる場合、ホワイトニングで改善しますか?

インプラント周囲の歯ぐきの黒ずみは、多くの場合、以下の原因によります。

  • インプラント体や金属部分の露出: インプラントの土台や被せ物の金属部分が、歯ぐきを通して透けて見える。
  • 金属イオンの溶出: 金属製の被せ物や土台から溶け出した金属イオンが歯ぐきに沈着している。

これらの黒ずみは、歯の色素沈着ではないため、ホワイトニングで改善することはありません。黒ずみを解消するためには、金属を使わないオールセラミックジルコニアの人工歯に交換したり、歯ぐきの移植などの審美歯科処置が必要になる場合があります。

 



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 認定医、日本口腔インプラント学会 専門医、日本顎顔面インプラント学会 専門医、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。