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インプラント治療の費用・期間・安全性

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2026.02.17

インプラント治療を検討する際、多くの方が最初に直面する不安は「費用」と「期間」、そして「安全性」ではないでしょうか。自由診療であるインプラントは、歯科医院によって提示される金額や術式が異なり、比較検討が難しいと感じることも少なくありません。納得して治療を受けるためには、表面的な価格だけでなく、その内訳や治療期間を左右する要因、そして安全性を高めるための基準を正しく理解することが不可欠です。本記事では、後悔しない治療選択のために、専門的な視点からインプラントの適正な考え方を解説形式でまとめました。

インプラント治療にかかる費用相場とその内訳を正しく知る

インプラント治療は健康保険が適用されない「自由診療」であるため、費用は各歯科医院が独自に設定しています。一般的に、インプラント1本あたりの総額は30万円から50万円程度が相場とされています。この金額の差は、使用するインプラントメーカーの信頼性や、被せ物(人工歯)に使用する素材の質、そして精密診断にかかるコストなどの違いによって生じます。

費用の主な内訳は、以下の通りです。

項目

内容

備考

検査・診断料

CT撮影、シミュレーション、口腔内模型作製

安全な手術の基盤となる

インプラント体代

顎の骨に埋め込む人工歯根の代金

世界的シェアを持つメーカーは高価

手術料

埋入手術にかかる技術料、滅菌対策費用

術式により変動する場合がある

上部構造(人工歯)

セラミックやジルコニアなどの被せ物代

素材の審美性や耐久性で異なる

安価であることを強調する広告も見受けられますが、極端に費用が低い場合は、検査料や土台(アバットメント)の代金が別設定になっていたり、実績の少ないメーカーの製品を使用していたりするケースもあります。提示された見積もりに「何が含まれ、何が含まれていないのか」を詳細に確認することが、適正な治療を受けるための第一歩となります。

治療期間を左右する骨の状態と最新の術式による違い

インプラント治療の期間は、一般的に3ヶ月から半年程度とされていますが、これには個人差があります。期間の長短を決定づける最大の要因は、インプラントを埋め込む箇所の「骨の量と質」です。インプラントが骨としっかりと結合(オッセオインテグレーション)するのを待つ必要があるため、骨の密度が高い下顎よりも、骨が柔らかい上顎の方が治癒に時間を要する傾向があります。

治療期間が変動する主なケースは以下の通りです。

  • 骨造成が必要な場合: 骨の厚みが足りない場合、骨を増やす処置を先に行うため、さらに3ヶ月〜6ヶ月程度期間が延長されます。
  • 抜歯即時埋入法: 抜歯と同時にインプラントを埋入する術式です。条件が合えば、通常よりも治療期間を短縮することが可能です。
  • 即時荷重(イミディエイトロード): 手術したその日に仮歯を装着する手法です。見た目の回復は早いですが、骨との結合を待つ期間自体がなくなるわけではありません。

最新の歯科医療では、デジタル技術を駆使して治癒を早める取り組みも進んでいますが、最も大切なのは「急ぐこと」ではなく「確実に骨と結合させること」です。ご自身の骨の状態に適したステップを踏むことが、結果としてやり直しのない、最短の治療ルートへとつながります。

持病がある方や高齢の方でも治療が受けられる可能性について

「高齢だから手術は難しいのではないか」「持病があるけれど大丈夫だろうか」といった不安を抱える方も少なくありません。結論から申し上げますと、年齢制限によって治療が受けられないことはほとんどありません。大切なのは年齢そのものではなく、現在の全身状態が安定しており、手術に耐えられるかどうかという点です。

特に注意が必要なケースと、その対応策は以下の通りです。

  • 糖尿病: 血糖値が適切にコントロールされていれば治療は可能です。コントロールが不十分だと傷の治りが遅くなったり、感染リスクが高まったりするため、主治医と連携して進めます。
  • 骨粗鬆症: 服用しているお薬の種類(BP製剤など)によっては、外科処置後に顎の骨に影響が出るリスクがあります。必ず事前にお薬手帳を確認し、休薬の必要性などを検討します。
  • 高血圧・心疾患: 手術中の血圧変動をモニタリングし、身体への負担を最小限に抑える体制を整えることで、安全に処置を行うことが可能です。

近年のインプラント治療は、低侵襲な術式が普及しており、80代で治療を受け、しっかりと食事を楽しめるようになられる方も多くいらっしゃいます。持病があるからと諦める前に、まずは現在の健康状態を正確に伝え、どのようなリスク管理下で治療が可能かを専門医に相談することが、安心への近道となります。

安全性と成功率を高めるための歯科医院選びのポイント

インプラント治療は高度な技術を要する外科手術を伴うため、歯科医院選びは治療の成功を左右する極めて重要な要素です。価格の安さだけで判断するのではなく、安全性を担保するための「設備」と「体制」が整っているかを確認することが、後悔しないためのポイントとなります。

信頼できる歯科医院を見極めるためのチェックリストは以下の通りです。

  • 精密診断設備の有無: 歯科用CTを完備し、骨の立体構造や神経の位置を術前に正確に把握しているか。
  • 衛生管理の徹底: オペ専用の個室があり、器具の滅菌や使い捨て用品の活用など、感染対策が万全か。
  • インプラント体の品質: 世界的に長期の臨床データがある、信頼性の高いメーカーの製品を使用しているか。
  • 十分な説明(インフォームド・コンセント): メリットだけでなく、リスクや費用、代替案についても丁寧に説明があるか。

また、万が一のトラブルに備えた「保証制度」が整っているかどうかも重要です。インプラントは長く使い続けていくものですから、定期検診を通してお口全体をトータルで診てくれる、誠実なパートナーとなる歯科医院を選ぶことが、最終的な満足度と安全性を高めることにつながります。

まとめ

インプラント治療は、正しく理解し適切に選択すれば、失った歯の機能を最も天然歯に近い形で取り戻せる素晴らしい治療法です。費用や期間、そして外科手術という側面から不安を感じることも多いかと思いますが、それらはすべて事前の精密な診断と丁寧なカウンセリングによって解消できるものです。

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 費用の考え方: 総額だけでなく、検査料や上部構造の素材など内訳まで確認し、適正価格を見極める。
  • 期間の要因: 骨の状態により個人差があるが、確実に骨と結合させるための治癒期間が成功の鍵となる。
  • 適応の広がり: 持病や年齢を理由に諦めず、全身状態の管理下で安全に治療できる可能性を探る。
  • 医院選び: 設備・衛生管理・保証制度が整った、信頼できるパートナーを選ぶことが重要。

大切なのは、目先の費用や期間だけで決めるのではなく、10年後、20年後も「この治療を選んでよかった」と思えるかどうかという視点です。しっかりとした噛み心地を取り戻すことは、全身の健康や心の豊かさにも直結します。疑問や不安があれば、まずは一つひとつ専門家に相談し、納得のいく答えを見つけることから始めてください。

 



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 認定医、日本口腔インプラント学会 専門医、日本顎顔面インプラント学会 専門医、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。