「歯科医院は多い、とよく言われるけど本当に多いの?」というテーマに対して。まず結論ですが…私は多いと思います。つまり需要(患者数)に対して供給(歯科医院の数)が過多になっていると言ってもよいかと思います。
今回もChatGPTを駆使して歯科医院が多い理由を調べてみました。
「昭和40年代に虫歯の多さが問題となり、歯科医師不足の解消のために歯学部・歯科大学が増やされ、そこから歯科医師が増え、歯科医院が多くなりました。また開業のハードルが比較的低い、保険制度が整っている、また小規模経営がしやすいなども理由として挙げられるようです。」
そして歯科医師がそれでも開業する理由について調べてみました。
「収入の向上、診療スタイルの自由度、働き方の自由度、さらには人間関係の自由度などが挙げられるようです。」
ここからは私見になります。私が歯学部に入学した頃からすでに歯科医院は地域によっては飽和状態にあると言われていました。それでも歯科医師というのは開業して1人前で、開業がキャリアとしての最終地点という考え方が一般的で、独立志向がある人が多かったと思います。医師とは異なり、歯科医師は大学病院や市中病院、またはその他の施設等で勤務するポストが少なく、さらには給料も少し低めなことも一つの理由かもしれません。
近年は専門性をもった歯科医院も多く、その中での競争も激しくなっております。他にも技工所なども併設している大型の歯科医院や、多店舗展開をしている歯科医院など、その業態はまるで飲食店のように様々です。またいわゆる高単価、高収益の治療(矯正、インプラント、予防歯科など)に関しては競争が激化しており、この流れは今後も続くことが予想されます。
コロナ禍以降、歯科業界の流れに大きな変化が起きたように思われます。それは今までとは逆で「歯科医院の減少と歯科医師数の減少」です。これを聞くと前述した競争の激化は落ち着いたかのように思われますがそんなことはなく、むしろ競争はさらに激化していると私は思っております。歯科医院の減少の理由は売上、利益がない歯科医院の廃業が増加し、且つ開業費用の高騰や好立地が見つからないことなどで開業のハードルがあがり新規開業が減ったからということになるでしょうか。歯科医師数の減少は団塊~ポスト団塊世代の歯科医師が引退して、且つ若い歯科医師の数が国家試験等で制限されたからでしょう。
その結果、①歯科医院間の格差の広がり、②勤務医の給与の高騰という二つの変化が起きたと思います。つまり選ばれる(大きい、通いやすい、雰囲気がいい、設備が整っている、専門性が高い、能力の高いスタッフ、先生がいる、チームとしてまとまってるなどなど)歯科医院がさらに潤い、その資金や能力を使って力を伸ばし、そうではない歯科医院が淘汰されていく。またそれに伴って少なくなってしまった勤務医獲得の競争も激化し、給与を含めた待遇が上がっていくという現象です。
それでは若い先生にとってこの状況はいいのか、というと何とも言えません。勤務医として一生を終えるのであれば問題はないと思いますし、前述したようにある程度の収入、診療スタイル、働き方、さらには人間関係なども能力次第で勤務医であってもなんとかなると思います。しかし、開業をするとなるとかなり厳しい状況であるかと思います。私が思う開業医と勤務医の大きな違いは「自分で大きいお金を動かす決断ができるかできないか」です。少額ならともかく、大きな額を使う判断というのは基本的には経営者に委ねられます。よって本当に自分の自由な生き方をしたいとなるとどうしても自分で開業して経営を行う選択になるのですが、そのハードルが高くなり、かつ未成熟な時から巨大な力を持った同業と戦っていかなければならないので、本当に強くないと生き残っていけない世の中になってしまいました。私の予想ですが、おそらくここからは歯科医院の数は大きく変わらず、歯科医院を経営している人の数は減ってくると思います。つまり近年よく言われているように大きな法人か強い個人が残っていく、ということです。
繰り返しになりますが、個人的見解なので反対の意見もあるかと思います。ただ私自身は私自身であるためにもがき続けるしかない、この業界の変化に死に物狂いでついていくしかない、と自分を奮い立たせるためにこのブログを書かせて頂きました。読んで頂きありがとうございました。