大宮銀座通り歯科オフィシャルサイト

ご予約・お問い合わせ
048-783-2696
ARCHIVE

インプラント治療後、口臭がひどくなる

ブログ

2025.06.22

インプラント治療後、口臭がひどくなる原因は?

インプラント治療を終え、快適な食生活を取り戻したと思っていた矢先に、「インプラントがグラグラする」「痛みを感じる」といった症状が現れたら、それは非常に不安なことでしょう。せっかく時間と費用をかけて治療したインプラントに、一体何が起こっているのか、心配でたまらない方もいらっしゃるかもしれません。このような症状は、決して放置して良いものではなく、原因を早期に特定し、適切な処置を行うことが非常に重要です。この記事では、インプラント治療後にグラグラしたり痛みを感じたりする主な原因と、それぞれの状況に応じた対処法についてご案内します。

インプラント治療後に口臭が気になり始める主な原因は、インプラントそのものではなく、インプラント周囲の清掃不足や、それに伴う細菌の繁殖にあります。インプラントは人工物ですが、天然歯と同様に丁寧なケアを怠ると、汚れが溜まりやすく、口臭の原因となることがあります。

考えられる具体的な原因は以下の通りです。

  • インプラント周囲炎
    • インプラント周囲炎は、インプラントの周りの歯茎や骨が炎症を起こす病気で、天然歯の歯周病に似ています。主な原因は、インプラントと歯茎の境目にプラーク(歯垢)が溜まり、細菌が繁殖することです。
    • 細菌の出すガスが口臭の直接的な原因となります。炎症が進行すると、歯茎からの出血や膿(うみ)が出ることがあり、これも強い口臭の原因になります。
  • 清掃方法の不適切さ
    • インプラントの上にかぶせている人工歯と歯茎の境目や、歯と歯の間の隙間は、天然歯よりも複雑な形をしていることがあり、通常の歯ブラシだけでは汚れが十分に除去できない場合があります。
    • 特に、インプラントの形状によっては、食べカスが詰まりやすく、それが腐敗して口臭を引き起こすこともあります。
  • 上部構造(人工歯)の不適合
    • インプラントの上に取り付けられている人工歯が、インプラント体や歯茎にぴったり合っていない場合、わずかな隙間に食べカスや細菌が入り込みやすくなります。
    • この隙間が清掃を困難にし、細菌の温床となって口臭の原因となることがあります。
  • 他の口腔内の問題
    • インプラントとは直接関係なく、残っている天然歯の虫歯や歯周病、舌の汚れ(舌苔)、唾液の減少(ドライマウス)などが口臭の原因となっている可能性もあります。
    • インプラント治療前から口臭があった場合は、その原因が解決されていない可能性も考えられます。
  • 全身疾患の影響
    • 糖尿病や呼吸器系の疾患など、一部の全身疾患も口臭の原因となることがあります。これらはインプラント治療とは直接関係ありませんが、口臭が悪化したと感じる原因の一つとなることもあります。

これらの原因を特定するためには、自己判断せずに歯科医院での診察が不可欠です。

自分で口臭をチェックするには?

インプラント治療後に口臭が気になった際、歯科医院を受診する前に、まずはご自身で口臭の有無や程度をチェックしてみることも有効です。ただし、自分の口臭はなかなか客観的に判断しにくいものです。以下の方法を試してみてください。

  • コップやビニール袋を使う方法
    1. 清潔なコップやビニール袋を用意します。
    2. 口を大きく開け、息をゆっくりと吐き出してコップや袋の中に溜めます。
    3. すぐにその匂いを嗅いでみましょう。この時、鼻と口を近づけすぎると自分の鼻の匂いを嗅いでしまうことがあるので、少し離して嗅ぐのがポイントです。
  • デンタルフロスや歯間ブラシの匂いを嗅ぐ方法
    1. 歯磨き後、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、インプラントの周りや歯と歯の間の汚れを優しく除去します。
    2. フロスやブラシについた匂いを嗅いでみましょう。特に悪臭がする場合は、その部分に細菌が溜まっている可能性が高いです。
  • 舌の匂いを嗅ぐ方法
    1. 清潔なティッシュペーパーやガーゼで、舌の奥の方を軽く拭き取ります。
    2. ティッシュやガーゼについた匂いを嗅いでみましょう。舌の表面に白い苔のようなもの(舌苔)が厚く付着している場合、それが口臭の原因となることがあります。
  • 第三者に聞いてみる方法
    1. 最も客観的な判断を得られるのは、信頼できるご家族や親しい友人に正直に聞いてみることです。ただし、相手に不快感を与えないよう、伝え方には配慮が必要です。

これらのセルフチェックはあくまで目安であり、正確な口臭の原因や程度を知るためには、専門的な検査が必要です。口臭が気になる場合は、自己判断で解決しようとせず、速やかに歯科医院で相談することをお勧めします。

インプラント治療後、口臭が気になる場合は?

インプラント治療後に口臭が気になる場合、放置せずに速やかに歯科医院を受診することが最も重要です。自己判断で市販の口臭ケア用品を試すだけでは、根本的な原因の解決には繋がりません。口臭は、インプラント周囲炎の初期症状である可能性も高く、早期発見・早期治療がインプラントを長持ちさせる鍵となります。

歯科医院では、以下のような対応を行います。

  • 詳細な口腔内検査
    • インプラント周囲の歯茎の状態(腫れ、出血、膿の有無)を視診で確認します。
    • プローブという器具を使って、インプラント周囲の歯周ポケットの深さを測定し、炎症の程度や骨吸収の有無を評価します。
    • レントゲン撮影を行い、インプラント周囲の骨の状態や、インプラント本体に異常がないかを確認します。
    • インプラントの上部構造(人工歯)に不適合がないか、噛み合わせに問題がないかもチェックします。
  • 専門的なクリーニングと指導
    • 歯科医師や歯科衛生士が、専用の器具を用いてインプラント周囲のプラークや歯石を徹底的に除去します。通常の歯磨きでは落としきれない汚れを除去することで、細菌の数を減らし、炎症を抑えます。
    • 患者様の口腔内の状態に合わせて、インプラント周囲を効果的に清掃するための正しいブラッシング方法や、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの使用方法について丁寧に指導を行います。
  • 必要に応じた治療
    • インプラント周囲炎の治療: 炎症の進行度合いに応じて、非外科的治療(薬液洗浄、レーザー治療など)や、外科的治療(感染組織の除去、骨造成など)を行います。
    • 上部構造の調整・修正: 人工歯に不適合がある場合は、調整や修正、場合によっては再製作を検討します。
    • 噛み合わせの調整: 噛み合わせに問題がある場合は、インプラントにかかる負担を軽減するために調整を行います。
    • 他の口腔内疾患の治療: 残っている天然歯の虫歯や歯周病、舌苔など、インプラントとは異なる原因で口臭が発生している場合は、それらの治療も並行して行います。

口臭はデリケートな問題ですが、遠慮せずに歯科医師に相談することで、適切な診断と治療を受けることができ、快適な生活を取り戻すことができます。

まとめ

インプラント治療後に「口臭がひどくなった」と感じることは、決して珍しいことではありません。インプラント自体が直接口臭の原因となることは稀で、多くの場合、インプラント周囲の清掃不足や、それに伴う細菌の繁殖、特にインプラント周囲炎が原因として考えられます。その他にも、人工歯の不適合や、残っている天然歯の虫歯・歯周病、舌苔、全身疾患などが口臭の原因となることがあります。

ご自身で口臭をチェックする方法もありますが、最も重要なのは、口臭が気になったら放置せずに速やかに歯科医院を受診することです。早期に原因を特定し、適切な処置を行うことが、インプラントを長持ちさせ、快適な生活を取り戻すための鍵となります。

歯科医院では、詳細な口腔内検査を通じて口臭の原因を特定し、専門的なクリーニングや正しいブラッシング指導、必要に応じたインプラント周囲炎の治療、人工歯の調整などを行います。

インプラント治療後も、毎日の丁寧なセルフケアと定期的な歯科検診を継続することで、口臭を予防し、インプラントを長く快適に使い続けることができます。



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 認定医、日本口腔インプラント学会 専門医、日本顎顔面インプラント学会 専門医、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。