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歯がボロボロになってしまった方

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2025.09.02

「歯がボロボロになってしまった」と感じ、鏡を見るたびに憂鬱になったり、人前で口を開けるのがためらわれたりしている方もいらっしゃるかもしれません。虫歯が進行して歯が欠けてしまったり、歯ぐきが腫れて歯がぐらぐらになったり、あるいは痛みで食事が楽しめなくなったりと、その状態は様々でしょう。しかし、どんなに歯の状態が悪くなってしまったとしても、決して諦める必要はありません。多くの場合は、適切な治療を受けることで、健康的なお口を取り戻し、自信を持って笑顔で過ごせるようになります。なぜ歯がボロボロになってしまうのか、どのような治療法があるのか、そして放置することのリスクについて詳しく解説いたします。現状を理解し、一歩踏み出すきっかけとしていただければ幸いです。

歯がボロボロになる原因とは

「歯がボロボロになってしまった」と感じる状態には、いくつかの主な原因が考えられます。これらの原因は単独で進行することもあれば、複数重なり合って口腔内の状態を悪化させることも少なくありません。ご自身の歯がなぜこのような状態になってしまったのかを理解することは、今後の治療を考える上で非常に重要です。

歯がボロボロになる主な原因

  1. 重度の虫歯(むし歯)の進行:
    • 概要: 虫歯は、口の中の細菌が糖を分解して酸を作り出し、その酸が歯のエナメル質や象牙質を溶かす病気です。
    • 進行と影響: 初期段階では自覚症状が少ないため放置されやすく、気づいた時には神経まで達し、激しい痛みや歯の崩壊を引き起こします。歯冠(歯ぐきから上の見える部分)が大きく失われると、根だけが残る「残根」状態になり、歯の機能は著しく低下します。
    • 放置のリスク: 進行した虫歯を放置すると、歯の根の先に膿がたまったり、周囲の歯にも影響を及ぼしたりする可能性があります。
  2. 重度の歯周病の進行:
    • 概要: 歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)が細菌によって破壊される病気です。
    • 進行と影響: 初期段階では歯ぐきの腫れや出血程度ですが、進行すると歯を支える骨が溶けてしまい、歯がグラグラになり、最終的には抜け落ちてしまいます。多くの歯が同時に影響を受けることが特徴です。
    • 放置のリスク: 歯周病は全身の健康にも影響を及ぼすことが知られており、糖尿病や心臓病などのリスクを高める可能性も指摘されています。
  3. 複数の歯の欠損(抜歯後の放置など):
    • 概要: 虫歯や歯周病、外傷などで歯を失った後に、その部分を放置してしまうと、残っている歯に過度な負担がかかります。
    • 影響: 隣接する歯が傾いたり、噛み合う歯が伸び出してきたりして、噛み合わせ全体のバランスが崩れてしまいます。これにより、残っている歯の寿命も短くなる悪循環に陥ることがあります。
    • 放置のリスク: 噛む機能が低下し、消化器官への負担が増えるだけでなく、顔の輪郭にも影響が出ることがあります。
  4. 不適切な口腔ケアの継続:
    • 概要: 長期間にわたり、適切な歯磨き習慣が身についていなかったり、歯科医院での定期検診を怠ったりしていると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
    • 影響: 歯にプラークや歯石が蓄積し、細菌の温床となることで、口腔内の環境が悪化し、歯がボロボロになる原因となります。

これらの原因のいずれか、または複合的な要因によって、歯が「ボロボロ」と感じる状態になることがあります。しかし、現状を正確に把握し、適切な治療を受けることで、改善の道は必ず開けます。

歯がボロボロになってしまった時の治療法

「歯がボロボロになってしまった」という状態は、一見すると手の施しようがないように感じられるかもしれません。しかし、現在の歯科医療には、そのような状態からでもお口の健康と機能を取り戻すための様々な治療法があります。重要なのは、患者様一人ひとりの口腔内の状態に合わせて、最適な治療計画を立てることです。

歯がボロボロになった時に検討される主な治療法

  1. 残せる歯の治療(虫歯・歯周病治療):
    • 虫歯治療: 残っている歯に虫歯がある場合は、その進行度合いに応じて治療を行います。初期の虫歯であれば詰め物で対応できますが、進行している場合は神経の治療(根管治療)や被せ物(クラウン)が必要になることがあります。
    • 歯周病治療: 歯周病が進行している場合は、まず歯周病の治療を優先します。歯石除去(スケーリング)や歯周ポケット掻爬術(そうはじゅつ)などで歯ぐきの炎症を抑え、歯を支える骨の吸収を食い止めることを目指します。重度の場合は、歯周外科手術が必要になることもあります。
    • 役割: これらの治療は、残せる歯を最大限に活用し、口腔機能の回復の土台を築くために不可欠です。
  2. 失ってしまった歯の機能回復:

歯を失ってしまった部分には、主に以下の3つの方法で機能回復を図ります。

    • ブリッジ:
      • 概要: 失った歯の両隣の歯を削り、橋渡しをするように連結した人工歯を装着する方法です。
      • 特徴: 固定式で見た目も自然ですが、健康な歯を削る必要があります。隣の歯に負担がかかることもあります。
      • 適応: 比較的少ない本数の欠損に適しています。
    • 入れ歯(義歯):
      • 概要: 歯を失った部分を補うために、取り外し式の人工の歯を装着する方法です。
      • 特徴: 比較的費用を抑えられ、外科処置が不要です。部分入れ歯と総入れ歯があります。
      • 適応: 広範囲の歯を失った方や、インプラント治療が難しい方など、多くのケースで選択肢となります。
    • インプラント治療:
      • 概要: 顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。
      • 特徴: 独立して機能するため、周囲の健康な歯に負担をかけません。天然の歯に近い噛み心地と見た目を再現できます。
      • 適応: 骨の状態が良好な方、長期的な安定性を求める方。骨が少ない方でも、骨造成などの付随処置で可能になる場合があります。
  1. 口腔全体のバランスを考慮した治療計画:
    • 歯がボロボロになった状態では、単に痛い部分や欠損した部分だけを治療するのではなく、口腔全体を一つの単位として捉え、総合的な治療計画を立てることが重要です。噛み合わせのバランス、審美性、そして将来的な口腔の健康維持を見据えた計画を立てることで、治療後に長期的に安定した状態を保つことができます。

当院では、患者様一人ひとりの状態を精密に診断し、それぞれの治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、患者様にとって最良の選択肢をご提案いたします。どんなに状態が悪いと感じていても、まずはご相談ください。

歯がボロボロになってしまった時に放置するリスク

「歯がボロボロの状態」をそのままにしてしまうと、見た目の問題だけでなく、お口の中や全身の健康にまで深刻な影響が及ぶ可能性があります。痛みがないからといって放置していると、取り返しのつかない事態になることもあります。

歯がボロボロの状態で放置する主なリスク

  1. 痛みの悪化と抜歯のリスクの増大:
    • 虫歯の進行: 虫歯がさらに深く進行し、神経にまで達すると、耐えがたいほどの激しい痛みが生じることがあります。最終的には神経が壊死し、歯の根の先に膿がたまり、顔が腫れるなどの緊急事態に発展する可能性もあります。
    • 歯周病の進行: 歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶け続け、歯がグラグラになり、最終的には自然に抜け落ちてしまうか、抜歯せざるを得なくなります。
    • 影響: 放置すればするほど治療は複雑になり、時間も費用もかさむだけでなく、残せる歯の数も少なくなってしまうリスクが高まります。
  2. 噛む機能の低下と消化器への負担:
    • 食事の質の低下: ボロボロの歯では、食べ物を十分に噛み砕くことができません。硬いものが食べられなくなり、柔らかいものばかり選ぶようになると、食事の楽しみが失われるだけでなく、栄養バランスが偏る原因にもなります。
    • 消化器への負担: 噛み砕かれなかった食べ物は、消化器官にそのまま送られるため、胃や腸に余計な負担をかけてしまいます。これにより、消化不良や胃腸のトラブルを引き起こす可能性があります。
  3. 他の健康な歯への悪影響:
    • 負担の集中: 一部の歯がボロボロになると、残っている健康な歯に過度な負担がかかります。これにより、健康だった歯まで虫歯や歯周病になったり、欠けたりするリスクが高まります。
    • 噛み合わせの乱れ: 歯が抜けたまま放置すると、隣の歯が傾いたり、噛み合う歯が伸びてきたりして、全体の噛み合わせが大きく乱れてしまいます。これは顎関節症などの原因にもなり得ます。
  4. 全身の健康への影響:
    • 感染症のリスク: 歯周病菌や虫歯菌が血管を通じて全身に広がり、糖尿病の悪化、心臓病、脳卒中、誤嚥性肺炎などの全身疾患のリスクを高めることが指摘されています。
    • 免疫力の低下: 慢性的な口腔内の炎症は、全身の免疫力低下につながる可能性もあります。
  5. 心理的・社会的な問題:
    • 審美性の低下: 歯がボロボロだと、見た目が悪くなり、人前で話したり笑ったりすることに抵抗を感じるようになります。これにより、自信を失ったり、社交の場を避けたりするなど、精神的なストレスにつながることがあります。
    • 発音への影響: 歯の欠損やボロボロの状態は、発音にも影響を与え、会話がしにくくなることもあります。

これらのリスクを避けるためにも、「もう手遅れだ」と諦めずに、まずは歯科医院にご相談ください。早期に対処することで、これらのリスクを最小限に抑え、健康な状態を取り戻すことが可能です。

インプラント治療

「歯がボロボロになってしまった」という状況で、特に多くの歯を失ってしまったり、残っている歯も状態が悪かったりする場合に、検討される治療法の一つがインプラント治療です。インプラント治療は、単に歯を補うだけでなく、天然の歯に近い機能性と審美性を回復できる画期的な方法として注目されています。

インプラント治療の仕組みと特徴

  • 人工歯根の埋入: 顎の骨にチタン製の小さな人工歯根(インプラント体)を埋め込みます。このインプラント体が、歯の根の代わりとなって、顎の骨としっかりと結合(オッセオインテグレーション)します。
  • 人工歯の装着: インプラント体が骨と結合した後、その上に人工の歯(上部構造)を装着します。この人工歯は、見た目も天然の歯に非常に近く、機能的にも優れています。
  • 周囲の歯への影響が少ない: ブリッジのように健康な隣の歯を削る必要がなく、入れ歯のように残っている歯にクラスプ(バネ)をかける必要がないため、周囲の歯に負担をかけません。
  • 自然な噛み心地: 顎の骨に直接固定されるため、天然の歯に近い感覚でしっかりと噛むことができます。これにより、食事の楽しみが回復し、消化吸収の改善にもつながります。
  • 高い審美性: 人工歯の色や形を周囲の歯に合わせて作製するため、見た目も非常に自然で、美しい笑顔を取り戻せます。
  • 骨の吸収抑制: 歯が抜けたまま放置すると、その部分の顎の骨は徐々に痩せてしまいますが、インプラントを埋め込むことで、骨への刺激が加わり、骨の吸収を抑制する効果も期待できます。

「歯がボロボロ」の方へのインプラント治療の可能性

歯が広範囲にボロボロになってしまい、多くの歯を失っている方、あるいは残っている歯も抜歯せざるを得ない場合でも、インプラント治療は有効な選択肢となります。

  • オールオン4/6などの治療法: 多数の歯を失った方に対しては、数本のインプラント(通常4本または6本)で、上顎または下顎のすべての人工歯を支える「オールオン4/6」のような治療法も検討できます。これにより、少ないインプラントで効率的に全体の噛み合わせを回復させることが可能です。
  • 骨造成の併用: 歯周病の進行などで顎の骨が不足している場合でも、GBR法やサイナスリフトといった骨造成(骨を増やす)手術を併用することで、インプラント治療が可能になるケースが増えています。
  • 総合的な治療計画: 「歯がボロボロ」の状態からのインプラント治療では、残せる歯の治療、抜歯、骨造成、そしてインプラント埋入、最終的な人工歯の装着まで、口腔全体のバランスを考慮した包括的な治療計画が非常に重要となります。

インプラント治療は外科処置を伴い、治療期間や費用もかかるため、患者様の状態やご希望に合わせて慎重に検討する必要があります。当院では、患者様のお口の状態を精密に診断し、インプラント治療が最適な選択肢であるかを丁寧に説明し、一人ひとりに合わせた最善の治療計画をご提案いたします。

 



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 認定医、日本口腔インプラント学会 専門医、日本顎顔面インプラント学会 専門医、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。