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インプラントの術後の注意点。起きやすいトラブルについて

ブログ

2025.05.22

インプラント手術を終えられた方、あるいはこれから手術を控えている方へ。

手術の成功はもちろん重要ですが、その後の過ごし方によってインプラントの長期的な安定性は大きく左右されます。せっかく手に入れた新しい歯を長く快適に使い続けるためには、術後の適切なケアが不可欠です。しかし、「どんなことに気をつければいいの?」「もしトラブルが起きたらどうすれば?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。大宮銀座通り歯科では、患者様が安心して術後を過ごせるよう、具体的な注意点や、もし起こりうるトラブルとその対処法について詳しくご説明しています。

インプラントの術後の注意点。起きやすいトラブルについて

インプラント手術は、失われた歯の機能と美しさを取り戻すための有効な治療法ですが、手術後のケアを怠ると、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。インプラントを長持ちさせ、快適な生活を送るためには、歯科医師や歯科衛生士の指示を守り、適切な術後ケアを実践することが非常に重要です。

まず、手術直後は麻酔が効いているため、感覚が鈍くなっています。誤って口の中を噛んでしまったり、熱いもので火傷をしたりしないように注意が必要です。出血を防ぐためには、激しい運動や入浴、飲酒は避け、安静に過ごすことが大切です。また、手術部位を触ったり、舌で弄ったりするのも避けましょう。

数日後には、腫れや痛みが現れることがありますが、通常は数日から1週間程度で落ち着きます。処方された痛み止めや抗生物質は、歯科医師の指示通りに服用してください。もし、強い痛みや腫れが続く場合、または出血が止まらない場合は、すぐに歯科医院に連絡することが重要です。

食事については、手術部位に負担をかけないよう、柔らかいものから徐々に始めるようにしましょう。硬いものや刺激物は避け、手術部位の反対側で噛むように心がけてください。喫煙は、血行を悪くし、治癒を遅らせるだけでなく、インプラント周囲炎のリスクを高めるため、禁煙が強く推奨されます。

インプラント術後1週間からのメンテナンス方法

インプラント手術後、初期の腫れや痛みが落ち着いてきたら、いよいよ本格的なメンテナンスの開始です。この時期からの適切なケアが、インプラントの長期的な安定と機能維持に不可欠となります。天然歯と同様に、インプラントもプラーク(歯垢)や歯石の蓄積によって、インプラント周囲炎という歯周病に似た病気を引き起こす可能性があります。インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支える骨が失われ、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。そのため、日々の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアの両方が非常に重要になります。

ご自宅でのケアとしては、まず、歯ブラシによる丁寧なブラッシングが基本です。インプラント周囲の歯茎との境目や、人工歯とアバットメント(インプラントと人工歯を繋ぐ部品)の隙間は、特にプラークが溜まりやすい部分なので、一本一本丁寧に磨きましょう。通常の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを活用することも有効です。インプラント専用の歯ブラシや清掃補助器具もありますので、歯科衛生士に相談して、ご自身に合ったものを選ぶと良いでしょう。

また、定期的な歯科医院でのメンテナンスは、ご自身では落としきれないプラークや歯石を除去するだけでなく、インプラントの状態や噛み合わせのチェック、レントゲン検査などを行うことで、早期にトラブルを発見し、適切な対応をとることが可能になります。一般的には、3ヶ月から半年に一度のペースで定期検診を受けることが推奨されます。歯科衛生士による専門的なクリーニングや、正しいブラッシング方法の指導を受けることも、インプラントを長持ちさせるためには非常に大切です。

注意点を守らないことで起こりうるトラブル

インプラント手術後の注意点を守らず、適切なケアを怠ると、様々なトラブルが発生するリスクが高まります。これらのトラブルは、インプラントの寿命を縮めるだけでなく、再治療が必要になる場合や、最悪の場合、インプラントの脱落につながる可能性もあります。

まず、最も注意すべきなのはインプラント周囲炎です。これは、プラークや歯石がインプラント周囲に蓄積し、歯茎が炎症を起こす病気です。初期には歯茎の腫れや出血が見られますが、進行するとインプラントを支える骨が溶けてしまい、インプラントがグラグラと動揺し始めます。最終的には、インプラントを維持できなくなり、抜去せざるを得なくなることもあります。天然歯の歯周病と同様に、自覚症状が出にくい場合もあるため、早期発見と適切な対処が非常に重要です。

また、不適切なブラッシングや硬い物の咀嚼などによって、インプラントの上部構造である人工歯が破損したり、欠けたりする可能性もあります。特に、手術後間もない時期や、骨との結合が不安定な時期に無理な力を加えると、インプラント体自体に負荷がかかり、結合を阻害する原因となることもあります。

さらに、定期的なメンテナンスを怠ると、噛み合わせの変化や、インプラント周囲の異常に気づくのが遅れることがあります。噛み合わせの不調和は、インプラントや周囲の天然歯に過剰な負担をかけ、破損や脱落のリスクを高めます。また、早期に異常を発見できれば、比較的簡単な処置で対応できる場合でも、放置することで大掛かりな治療が必要になることもあります。

喫煙は、血行不良を引き起こし、インプラント周囲炎のリスクを大幅に高めるだけでなく、骨とインプラントの結合を阻害する可能性も指摘されています。術後の喫煙は、治療の成功率を大きく下げる要因となるため、禁煙を強くお勧めします。

これらのトラブルを避けるためには、歯科医師や歯科衛生士の指示をしっかりと守り、適切なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアを継続することが何よりも大切です。



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 認定医、日本口腔インプラント学会 専門医、日本顎顔面インプラント学会 専門医、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。