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ARCHIVE治療方針等~抜歯か非抜歯か~

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2021.12.19

とある看板の広告が話題になりましたので、今回は治療方針、特にインプラント治療を行う際の残存歯の抜歯か非抜歯かについての話をさせて頂きたいと思います。また一応同業者向けの話ではありますが、一般の方も見られているのでできるだけ分かりやすい表現を使用させて頂きたいと思っておりますのでご了承ください。

大学院生であった頃、私はインプラント治療を行う際は「疑わしきは抜歯せよ」と教えて頂いたことがあります。例えばインプラント治療を終えた後に他の残存歯が抜歯となってしまった場合、以前に行ったインプラント治療が枷となることがあるからです。「最初からその歯を抜歯していれば、こういう治療方針にしたのに…」みたいなことを防ぐために、インプラント治療を行うのであれば、治療後に抜歯となるような歯ができるだけないように、治療前にいわゆる戦略的抜歯を行うべきという考え方なのでしょう。現在、私はこの考え方に100%賛同はしませんが、治療方針を決定する際の参考にさせて頂いています。

この度話題となったいわゆるオール…という治療方法は基本的には全ての残存歯を抜歯して、インプラントのみで固定性の補綴物を作製する方法です。同業の方は今一度こちらをぜひ見て頂ければ。https://ja.wikipedia.org/wiki/All-on-4
私はこの治療方法を「普通のインプラント治療は軟・硬組織を増やすことが多いけれども、この治療は減らすことが多い。」と患者様に説明します(もちろんこの言い回しが微妙であることは分かってはいるのですが…)。ある程度の経験を積まれた先生ならご理解頂けるとは思いますが、口腔内の組織を理想的に増やしてインプラント治療を行い、それを長期間維持するというのはとても難しいです。もちろん医療者側の技術も必要ですし、患者側は時間、手術の回数、費用、術後の疼痛や腫脹、その他の合併症のリスクへの理解が必要となります。であれば増やすのではなくて減らすという選択を取ることで①短期間②低侵襲③低コスト④高成功率⑤高生存率な治療を目指すというものです。また専門的な話にもなりますが、審美、機能(咬合)、そして清掃という点においても自由度が増えるというのもメリットの一つであります。
 確かに、この治療方法が妥当であったかどうか疑問であるケースも多々散見されます。もちろん患者様が納得の上で行われた治療であれば、基本的には他者が何かを言うのは違うとは思います。しかし同業者から批判を受けても致し方ないようなケースがあるため、この治療方法についてあまりいいイメージをもたれない方も多いです。ただケースによってはこの治療方法の方が患者側、医療者側双方にメリットがあるため、治療方法自体を完全否定はできないと思います。

私自身は基本的には天然の残存歯をできるだけ保存したい、と考えているのですが、患者様によってはこの治療方法がベターであることもあるため、選択肢の一つとして提案させて頂くことがあります。そして複数の治療方法について詳しく説明させて頂いたあとに、患者様が選択されるのであればこの治療を行うことがあります。以前の繰り返しになりますが、治療方針に絶対の正解はないと思います。患者様、ドクター、スタッフ、その他様々な要因が絡むため色々あって然るべきです。たとえ我々の症例発表のような場で100点とならない治療方針であったとしても、その患者様、そして医院にとっての100点を目指す治療方針を提案できればと私は考えています。賛否両論あるかとは思いますが、今後とも何卒よろしくお願いします。



 
監修記事
小川 信Ogawa Shin
医療法人社団 新成会 理事長。歯科医師。日本口腔外科学会 口腔外科認定医、日本口腔インプラント学会 所属、日本顎顔面インプラント学会 所属、厚生労働省指定臨床研修指導歯科医として、多岐にわたるインプラント治療を行う。新潟大学医歯学総合病院の口腔外科やインプラント治療部門で長く研究や臨床に携わっており、「患者さんができるだけ長い間、QOLが高い状態で過ごせるよう、そのライフスタイルに寄り添った歯科治療を提供したい」という想いで、日々の治療にあたっている。